運送約款
目次
- 第1章 総則(第1条・第2条)
- 第2章 運送の引受け(第3条―第5条)
- 第3章 運賃及び料金(第6条―第15条)
- 第4章 旅客の義務(第16条―第18条)
- 第5章 賠償責任(第19条―第21条)
- 第6章 連絡運輸等(第22条・第23条)
- 附則 適用期日
第1章 総則
(適用範囲)
- 第1条 この運送約款は、当社が経営する航路で行う旅客及び手回り品の運送に適用されます。
- 2 この運送約款に定めのない事項については、利用規約、法令の規定又は一般の慣習によります。
- 3 当社がこの運送約款の趣旨及び法令の規定に反しない範囲内で特約の申込みに応じたときは、その特約によります。
(定義)
- 第2条 この運送約款で「旅客」とは、自動車航送を伴わない乗客をいいます。
(1) この運送約款で「大人」とは、12歳以上の者(小学生(小学校(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条の小学校、義務教育学校の前期課程及び特別支援学校の小学部並びに同法第134条第1項の各種学校の小学部に類するものをいう。以下同じ。)に就学する児童をいう。以下同じ。)を除く。)をいいます。
(2) この運送約款で「小児」とは、小学生をいいます。
(3) この運送約款で「幼児」とは、1歳以上の小学校に就学していない者をいいます。
(4) この運送約款で「乳児」とは、1歳未満の者をいいます。
- 2 この運送約款で「手回り品」とは、旅客が自ら携帯又は同伴して船室に持ち込む物であって、次の各号のいずれかに該当するものをいいます。
(1) 3 辺の長さの和が2メートル以下で、かつ、重量が30キログラム以下の物品
(2) 前号の寸法を超える場合であっても、事前連絡がなされ、当社が支障がないと認めたときは、前号の重量に収まる範囲において持ち込むことができます。
(3) 車いす(旅客が使用するものに限る。)
(4) 身体障害者補助犬(身体障害者補助犬法(平成14年法律第49号)第2条に規定する盲導犬、介助犬及び聴導犬であって、同法第12条の規定による表示をしているものをいう(日本における補助犬の認定団体が発行する「期間限定証明書」を提示した海外から訪日される身体障害者が使用する補助犬を含む)。)
- 3 この運送約款で「営業所」とは、当社の事務所及び当社が指定するものの事務所をいいます。
- 4 乗船券とは、この運送約款に基づき旅客運送のために営業所において必ず発行する会社の電子データベース上に記録される形式の電子証票(以下「電子乗船券」という。)又は紙片の証票をいいます。
- 5 顔認証とは、生体認証方法を用い、旅客が本人であることを特定するものであり、発行する乗船券に紐づいているものをいいます。
第2章 運送の引受け
(運送の引受け)
- 第3条 当社は、使用船舶の輸送力の範囲内において、運送の申込みの順序により、旅客及び手回り品の運送契約の申込みに応じます。
- 2 当社は、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合は、運送契約の申込みを拒絶し、又は既に締結した運送契約を解除することがあります。
(1) 当社が第5条第1項の規定による措置をとった場合
(2) 旅客が次のいずれかに該当する者である場合
ア 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)による一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症(入院を必要とするものに限る。)の患者(疑似症患者及び無症状病原体保有者を含む。)又は新感染症の所見がある者
イ 泥酔者、薬品中毒者その他他の乗船者の迷惑となるおそれのある者
ウ 重傷病者又は小学校に就学していない小児で、付添人のない者
エ 年齢、健康上その他の理由によって生命が危険にさらされ、又は健康が著しく損なわれるおそれのある者(3) 旅客が法令若しくはこの運送約款の規定に違反する行為を行い、又は行うおそれがある場合
(4) 運送契約の申込みがこの運送約款と異なる運送条件によるものである場合
(5) 当該運送に関し、申込者から特別な負担を求められた場合
(手回り品の持込み等)
- 第4条 旅客は、手回り品(第2条第2項第3号及び第4号に掲げるものを除く。以下この項において同じ。)を2個に限り、船室に持ち込むことができます。ただし、手回り品の大きさ、乗船する船舶の輸送力等を勘案し、当社が支障はないと認めたときは、2個を超えて持込むことができます。
- 2 当社は、前項の規定にかかわらず、手回り品が次の各号のいずれかに該当する物であるときは、その持込みを拒絶することがあります。
(1) 臭気を発するもの、不潔なものその他乗船者に迷惑を及ぼすおそれのあるもの
(2) 鉄砲、刀剣その他使用することにより乗船者、他の物品又は使用船舶に危害を及ぼすおそれのあるもの
(3) 爆発物その他乗船者、他の物品又は使用船舶に危害を及ぼすおそれのあるもの
(4) 遺体
(5) 生動物(檻に入った愛玩動物と第2条第2項第4号に掲げるものを除く。)
(6) その他運送に不適当と認められるもの
- 3 当社は、手回り品が前項各号のいずれかに該当する物である疑いがあるときは、当該旅客又は第三者の立会いのもとに、当該手回り品の内容を点検することがあります。
(運航の中止等)
- 第5条 当社は、法令の規定によるほか、次の各号のいずれかに該当する場合は、予定した船便の発航の中止又は使用船舶、発着日時、航行経路若しくは発着港の変更の措置をとることがあります。
(1) 気象又は海象が船舶の航行に危険を及ぼすおそれがある場合
(2) 天災、火災、海難、使用船舶の故障その他のやむを得ない事由が発生した場合
(3) 災害時における円滑な避難、緊急輸送その他これらに類する旅客又は貨物の輸送を行う場合
(4) 船員その他運送に携わる者の同盟罷業その他の争議行為が発生した場合
(5) 乗船者の疾病が発生した場合など生命が危険にさらされ、又は健康が著しく損なわれるおそれがある場合
(6) 使用船舶の奪取又は破壊等の不法行為が発生した場合
(7) 旅客が第16条第1項各号に掲げる行為をし、又はしようとしていると信ずるに足りる相当な理由がある場合
(8) 官公署の命令又は要求があった場合
- 2 前項により運航を中止した場合、旅客の取扱いをしません。ただし、運輸上支障がない場合、自動車等の他の方法によって輸送することがあります。
第3章 運賃及び料金
(運賃及び料金の額等)
- 第6条 旅客及び手回り品の運賃及び料金(以下「運賃及び料金」という。)の額並びにその適用方法については、第2項及び第3項までに定めるところによるほか、別に地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)に届け出たところによります。
- 2 次の各号のいずれかに該当する者の運賃及び料金は、無料とします。ただし、座席を1人で使用する場合の運賃及び料金については、この限りではありません。
(1) 乳児
(2) 大人に同伴されて乗船する幼児(大人1人につき1人を超えて同伴されて乗船する者を除く。)
- 3 第2条第2項に掲げる手回り品の料金は、無料とします。
(運賃及び料金の収受)
- 第7条 当社は、営業所において所定の運賃及び料金を収受し、これと引き換えに乗船券を発行します。
- 2 当社は、旅客が船長又は当社の係員(以下「船員等」という。)の承諾を得て運賃及び料金を支払わずに乗船した場合は、補充乗船券を発行し乗船区間に対応する運賃及び料金を到着港の営業所もしくは乗船した船内にて収受します。
(乗船券の効力)
- 第8条 乗船券は、券面記載の乗船区間、通用期間、指定便(乗船年月日及び便名又は発航時刻が指定されている船便をいう。以下同じ。)に限り、使用することができます。
- 2 定期乗船券は、記名本人に限り使用することができます。
(運賃及び料金の変更の場合の取扱い)
- 第9条 運賃及び料金が変更された場合において、その変更前に当社が発行した乗船券は、その通用期間内に限り、有効とします。
(乗船券の通用期間)
- 第10条 当社は、乗船券の通用期間について、これを券面に記載します。
- 2 通用期間内に、疾病その他旅客の一身に関する不可抗力又は当社が第5条第1項の規定による措置をとったことにより、旅客が、乗船することを延期し、又は継続して乗船することができなくなった場合は、当社は、乗船券の未使用区間について、7日間を限度として、その通用期間を延長する取扱いに応じます。
- 3 旅客の乗船後に乗船券の通用期間が経過した場合は、そのまま継続して乗船する間に限り、当該乗船券の通用期間は、その間延長されたものとみなします。
- 4 乗船券は旅客が通用期間の満了する日までに乗船しなければ、無効となります。
(乗船変更)
- 第11条 旅客が乗船券(定期乗船券を除く。)の通用期間の終了前に券面記載の乗船区間、指定便の変更を申し出た場合には、当社はその変更の取扱いに応じます。ただし、変更しようとする船便等の輸送力に余裕がない場合は、この限りではありません。
- 2 前項の規定により当社が変更の取扱いに応じる場合には、当該変更に係る手数料は無料とし、変更後の乗船区間に対応する運賃及び料金の額と既に収受した運賃及び料金の額との間に差額が生じるときは、当社は不足額があればこれを申し受け、過剰額があればこれを払い戻します。
(指定便発航後の乗船変更の特例)
- 第12条 旅客が指定便に係る乗船券について当該指定便の発航後に乗船船便の変更を申し出た場合には、当社は、当該乗船券の券面記載の乗船日に発航する他の船便の輸送力に余裕がある場合に限り、当該乗船券による乗船変更の取扱いに応じます。
(乗船券の紛失)
- 第13条 旅客が乗船券を紛失したときは、当社は、改めて運賃及び料金を申し受け、これと引き換えに乗船券を発行します。この場合には、当社は、その旨の証明書を発行します。ただし、乗船券を所持していた事実が明白である場合、又は災害その他の事故により、その滅失の事実を証明する官公署発行の証明書を提出した場合には、この規定を通用しないことがあります。
- 2 旅客は、紛失した乗船券を発見したときは、その通用期間の経過後1年以内に限り、前項の証明書を添えて当社に運賃及び料金の払戻しを請求することができます。
(不正乗船等)
- 第14条 旅客が次の各号のいずれかに該当する行為をしたときは、当社は、運賃及び料金のほかにこれらの2倍に相当する額の増運賃及び増料金をあわせて申し受けることがあります。
(1) 船員等の承諾を得ないで、乗船券を持たずに乗船すること。
(2) 無効の乗船券で乗船すること。
(3) 記載事項が改変された乗船券で乗船すること。
(4) 当該乗船券を使用することができる者以外の者がこれを使用して乗船すること。
(5) 当社の係員が乗船券の提示を求め、又は運賃及び料金の支払いを請求してもこれに応じないこと。
(6) 不正の申告によって、運賃及び料金の割引を受け、又は運賃及び料金を支払わずに乗船すること。
(7) 乗船する際に、乗船券の提示を求めた際にその提示を拒否すること。
(払戻し及び払戻し手数料)
- 第15条 当社は、次の各号のいずれかに該当する場合は、それぞれ当該各号に定める額の運賃及び料金を払い戻します。なお、旅客の都合により払い戻す場合には、申し入れ1枚ごとに払戻し手数料を申し受けます。また、指定便の発航1時間前までに、なんら連絡もなく、旅客が運送契約を解除した場合は、払戻しを不可とします。ただし、当社が第5条第1項の規定により運航を中止した場合、払戻し手数料は徴収いたしません。
(1) 旅客が、船便の指定のない乗船券(定期乗船券を除く。以下この条において同じ。)について、その通用期間内に払戻しの請求をした場合、(第3号及び第7号に該当する場合を除く。) 券面記載金額(割引がされているときは、割引後の金額。以下同じ。)
(2) 旅客が、乗船前の指定便に係る乗船券について、当該指定便の発航1時間前までに払戻しの請求をした場合、(次号及び第5号に該当する場合を除く。)券面記載金額
(3) 死亡、疾病その他旅客の一身に関する不可抗力により、旅客が、乗船することを取止め、又は継続して乗船することができなくなったことを証明した場合において、乗船券の通用期間の経過後30日以内に払戻しの請求をしたとき。 券面記載金額と既使用区間に対応する運賃及び料金の額との差額
(4) 旅客が、定期乗船券について、その通用期間内に払戻しの請求をした場合 券面記載の乗船区間の往復の運賃及び料金の額(往復割引があるときは、割引後の運賃及び料金の額)に使用開始日以降の経過日数を乗じて得た額を券面記載金額から控除した額
(5) 当社が第5条第1項の規定による措置をとった場合において、旅客が運送契約を解除し、払戻しの請求をした場合、券面記載金額と既使用区間に対応する運賃及び料金の額との差額
(6) 当社が第3条第2項の規定により運送契約を解除した場合、券面記載金額と既使用区間に対応する運賃及び料金の額との差額
(7) 旅客が第13条第2項の規定による払戻しの請求をした場合、券面記載金額
第4章 旅客の義務
(旅客の禁止行為等)
- 第16条 旅客は、次に掲げる行為をしてはいけません。
(1) みだりに船舶の操舵設備その他の運航のための設備又は船舶に係る旅客乗降用可動施設の作動装置を操作すること。
(2) みだりに船舶内の立入りを禁止された場所に立ち入ること。
(3) 船舶内において喫煙すること。
(4) みだりに消火器、非常用警報装置、救命胴衣その他の非常の際に使用すべき装置又は器具を操作し、又は移動すること。
(5) みだりにタラップ、その他乗下船又は転落防止のための設備を操作し、又は移動すること。
(6) みだりに乗船者の乗下船の方法を示す標識、その他乗船者の安全のために掲げられた標識又は掲示物を損傷し、又は移動すること。
(7) 石、ガラスびん、金属片その他船舶又は船舶上の人若しくは積載物を損傷するおそれのある物件を船舶に向かって投げ、又は発射すること。
(8) 海中投棄を禁止された物品を船舶から海中に投棄すること。
(9) 船員等の職務の執行を妨げる行為をすること。
(10) 他の乗船者に不快感を与え、又は迷惑をかけること。
(11) 船内の秩序若しくは風紀を乱し、又は衛生に害のある行為をすること。
- 2 旅客は、乗下船その他船内における行動に関し、船員等が輸送の安全確保と船内秩序の維持のために行う職務上の指示に従わなければなりません。
- 3 船長は、前項の指示に従わない旅客に対し、乗船を拒否し、又は下船を命じることがあります。
(手回り品の保管)
- 第17条 旅客は、船室に持ち込んだ手回り品を自己の責任において保管しなければなりません。
(座席指定)
- 第18条 旅客は船内の特定の座席を予め指定できる場合があります。ただし、事前の通告なしに、使用船舶の変更その他の運航上やむを得ない理由でこれを変更する場合があります。
第5章 賠償責任
(当社の賠償責任)
- 第19条 当社は、旅客が、船員等の指示に従い、乗船港の乗降施設に達した時から下船港の乗降施設を離れた時までの間に、その生命又は身体を害した場合は、運送人が運送に関し注意を怠らなかったことを証明した場合を除き、これにより生じた損害について賠償する責任を負います。
- 2 前項の規定にかかわらず、当社は、次の各号のいずれかに該当する場合は、責任を負わないことがあります。
(1) 大規模な災害、震災その他の災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において運送を行う場合
(2) 運送に伴い通常生ずる振動その他の事情により生命又は身体に重大な危険が及ぶおそれがある者の運送を行う場合
- 3 当社は、手回り品その他旅客の保管する物品の滅失又は損傷により生じた損害については、当社又はその使用人に故意又は過失があったことが証明された場合に限り、これを賠償する責任を負います。
- 4 当社が第5条第1項の規定による措置をとったことにより生じた損害については、第1項又は前項の規定により当社が責任を負う場合を除き、当社は、これを賠償する責任を負いません。
(保険契約)
- 第20条 当社は、前条第1項(同条第2項において当社が免責される場合を除く。)に係る賠償責任を負うため、使用船舶ごとに、当該船舶の運航により生じた旅客の生命又は身体の損害を賠償することによって生ずる損失について、当該船舶の定員(船舶安全法(昭和8年法律第11号)第9条第1項に規定する最大搭載人員のうち旅客に係るものをいう。)1人につき、てん補する額の限度額を1億円以上とすることをその内容に含む保険契約又は共済契約に加入しています。
(旅客に対する賠償請求)
- 第21条 旅客が、その故意若しくは過失により、又は法令若しくはこの運送約款を守らなかったことにより当社に損害を与えた場合は、当社は、当該旅客に対し、その損害の賠償を求めることがあります。
第6章 連絡運輸等
(連絡運輸)
- 第22条 当社と連絡運輸に関する取決めのある運送事業者が発行する連絡乗車船券は、当社の運送区間については、当社の乗船券とみなします。
- 2 当社が連絡運輸に係る運送を引受ける場合は、当社は、全運送区間の運送に対する運賃及び料金その他の費用を収受し、これと引換えに全運送区間の運送に対する連絡乗車船券を発行します。
- 3 連絡運輸に係る旅客及び手回り品の運送については、当社の運送区間に関しては、この運送約款が適用されます。
(共通乗船券)
- 第23条 当社と共通乗船券による旅客の運送の取扱いに関する取決めのある船舶運航事業者が発行する共通乗船券は、当社の乗船券とみなします。
- 2 前項の共通乗船券により行われる旅客及び手回り品の運送については、当社の運送区間に関しては、この運送約款が適用されます。
附則
(適用期日)
- この運送約款は令和6年10月1日から適用します。